突然の雨や汗、水回りでの使用を考えたとき、製品の「防水性能」が気になる方は多いはずです。
中でもよく見かけるのが「IPX7」という表記。
しかし、これって実際どのくらいの水に耐えられる性能なのでしょうか?
「シャワーを浴びながらイヤホンを使っても大丈夫?」「スマホをお風呂に持ち込んでも平気?」といった疑問を持つ方も少なくありません。
この記事では、IPX7の防水性能を「どのくらい使えるのか?」という視点から徹底的に解説します。
まずはIP規格の意味からIPX7の定義までをわかりやすく説明し、そのうえで実際にどんな場面で使えるのか、逆にどこまでが危険なのかをシーン別に詳しく紹介。
また、より高性能なIPX8との違いや、防水製品を選ぶ際の注意点についても比較を交えて紹介します。
防水性能に関して不安や疑問を感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。
IPX7の防水性能はどのくらい?基本からわかりやすく解説
そもそも「IPX」とは?防塵・防水の規格をおさらい
「IPX」とは、IEC(国際電気標準会議)が定めた防水・防塵の保護等級です。
IPのあとに続く数字は、左側が防塵性能(0〜6)、右側が防水性能(0〜8)を表しています。
「IPX7」の場合は、防塵性能は試験されておらず(もしくは表記されていない)、防水性能のみが7であることを示します。
このようにIPX表記は、水に対する耐性の基準を客観的に示しており、製品選びの大事な指標となります。
IPX7の定義:水深1mで30分間耐えられる防水性能
IPX7は「一時的に一定水深の水中に沈めた場合に、機器が有害な影響を受けない」ことを示します。
具体的には、水深1メートルの水中に30分間沈めても正常に動作することが求められます。
ただし、これは「静止した水中でのテスト」であるため、シャワーや水流のある環境では同様の効果が保証されない点に注意が必要です。
あくまで水没に耐える”基準であり、水を浴び続ける前提ではありません。
数字が大きいほど防水力が高い?IPX5〜IPX8との違い
一般的に、IPXの数字が大きくなるほど防水性能は高くなるとされています。
以下に、主要な防水等級の違いをわかりやすく表でまとめました。
防水等級 | テスト内容 | 想定される使用シーン |
---|---|---|
IPX5 | あらゆる方向からの噴流水に耐える | 雨天・水しぶきにさらされる環境 |
IPX6 | 強い噴流水に耐える | 洗車・水流が強い場所での使用 |
IPX7 | 水深1mで30分間の一時的水没に耐える | 誤って水に落としたときの保護 |
IPX8 | 継続的な水没に耐える(メーカーによる定義) | 長時間の水中使用・水中撮影など |
このように、IPX7は水没には強くても、水流や連続使用には必ずしも強いとは限りません。
そのため、使用シーンに応じて適切な防水等級を選ぶことが重要です。
たとえば、シャワーやお風呂での使用を想定している場合は、IPX8の製品や「防水+耐熱・耐湿」と明記されたモデルを選ぶのが安心です。
IPX7防水はどんなシーンで使える?使えない?
【使用可】雨・汗・洗面所レベルの水濡れ
IPX7の製品は、日常的な水濡れ程度であれば問題なく使用できます。
たとえば、雨の日の通話や、汗をかくランニング時、うっかり洗面所に落とした場合でも、機器の内部に水が入り込むリスクはかなり低いと言えるでしょう。
さらに、飲み物をこぼしてしまったときや、濡れた手で操作した場合でも、短時間であれば問題ないケースが多く、日常生活における“うっかり”からしっかり守ってくれる性能を備えています。
また、アウトドアでの使用にも一定の安心感があります。
ただし、泥水や汚れた水ではなく、清潔な真水環境での浸水に限定されているため、使用状況には注意が必要です。
【注意】シャワーやお風呂での使用はNGなケースが多い理由
IPX7は「一時的な水没」には強いですが、「連続的な水流」や「高温多湿」には対応していません。
お風呂やシャワーのような環境では、湯気や高温によって防水シールが劣化する恐れがあり、想定外の浸水につながるリスクがあります。
特にスマホやイヤホンなどの電子機器は、高温・高湿度に弱いため注意が必要です。
ただし、メーカーによってはシャワー使用を許可している製品もあります。
使用前に必ず製品の仕様を確認してください。
IPX7のスマホ・イヤホン・家電製品で実際にできること・できないこと
できること
できないこと
このように、IPX7は完全防水ではなく、限定的な条件下での防水に対応しているという点を理解することが大切です。
特に高温・高湿・水圧の高い環境では性能が著しく低下する可能性があるため、製品の耐性を過信せず、状況に応じて慎重に扱う必要があります。
用途を正しく見極めることで、製品の寿命を延ばし、故障のリスクを大幅に減らすことができます。
IPX7とIPX8の違いは?防水性能を徹底比較
IPX8の方が上?どの程度の防水テストがされているのか
IPX8は、IPX7以上の防水性能を持つことを示しています。
ただし、IPX8の試験条件は製品ごとに異なり、メーカーが独自に設定するケースが一般的です。
つまり、IPX8の製品であれば、より安心して水回りやアウトドアで使える可能性が高いと言えるでしょう。
お風呂で使いたいならどちらを選ぶべき?
お風呂での使用を前提にするなら、IPX8の製品の方が安心です。
ただし、IPX8であっても「高温・蒸気」の影響を完全に防げるわけではないため、「お風呂対応」と明記されたモデルを選ぶのが安全です。
また、IPX8でもメーカーによって想定している水深や時間が異なるため、説明書や仕様表の確認は必須です。
IPX8でもメーカーによって想定する水深や時間が異なるため、必ず説明書や公式サイトで確認してください。
IPX7イヤホンとIPX8イヤホンの使い分けポイント
IPX7とIPX8の使用シーン別の比較まとめ
スポーツやランニング、雨の日の通勤などにはIPX7で十分です。
一方で、プールサイドやバスルームなど、より過酷な環境での使用を想定しているなら、IPX8モデルを選びましょう。
以下に、IPX7とIPX8の使用に適したシーンの違いをまとめました。
使用シーン | IPX7の対応可否 | IPX8の対応可否 |
---|---|---|
通勤・通学中の雨 | ◎ 対応可能 | ◎ 対応可能 |
ジョギングやフィットネス中の汗 | ◎ 対応可能 | ◎ 対応可能 |
誤って水に落としたとき | ○ 一時的ならOK | ◎ 安心して対応 |
シャワー中の使用 | △ 推奨されない | ○ モデルにより対応可 |
お風呂や高温多湿な環境での使用 | × 不適 | △ 対応モデルあり(確認要) |
また、IPX8製品は価格がやや高めになる傾向があるため、使用シーンとのバランスも考慮するのが賢明です。
コストパフォーマンスと必要な性能を天秤にかけて、自分の用途に合ったモデルを選びましょう。
購入前に知っておきたい!IPX7防水製品の選び方
防水だけじゃない!IPX7+αの性能にも注目
IPX7は確かに優れた防水性能ですが、他の性能も見逃せません。
とくにアウトドアで使用する場合は、耐久性や操作性も大事なポイントになります。
用途別おすすめ基準(スポーツ/家電/アウトドアなど)
スポーツ用途
軽量で装着感がよく、汗に強いもの(例:IPX7イヤホン)。
ジョギング中の揺れや汗による影響を最小限に抑えるため、イヤーフック付きや耳にしっかりフィットするデザインが理想です。
また、長時間の再生時間や簡単な操作性も求められるポイントです。
家電用途
キッチン周りや洗面所など水濡れ前提の場所で使う製品。
たとえば、音声アシスタント付きの防水スピーカーや、水滴が飛びやすい環境で使う体重計や電動歯ブラシなどが該当します。
防水性能に加え、手が濡れた状態でも操作しやすい設計があると便利です。
アウトドア用途
雨天使用や水辺での使用を想定し、防水+耐衝撃のある製品。
具体的には、防水Bluetoothスピーカーや、耐久性のあるアクションカメラ、防塵性能を備えたランタンなど。
極端な環境下でも信頼できる性能が必要とされます。
使う場面を具体的に想定し、それに適したスペックのものを選ぶのが失敗しないコツです。
単に「防水」という表記だけで選ぶのではなく、その他の性能とのバランスや、メーカーが想定している使用環境も確認しておくと安心です。
説明書やメーカー情報の「防水条件」を必ずチェックする理由
同じIPX7でも、製品によってテスト条件や想定用途が異なります。
そのため、購入前には必ず公式サイトや説明書で防水性能の詳細を確認し、自分の使いたいシーンと合っているかを確認しましょう。
まとめ
IPX7の防水性能は、一時的な水没に耐えるレベルに設定されています。
水深1m・30分間という試験条件をクリアしているため、雨や汗、水しぶきといった日常的な水濡れには安心して使える性能です。
しかし、シャワーやお風呂、高温多湿の環境ではその性能が発揮されないこともあり、注意が必要です。
IPX7=完全防水ではないということを理解したうえで、自分が使いたいシーンに合った製品選びをすることが重要です。
また、IPX8などより高い防水等級の製品と比較することで、目的に合った最適な防水機器を見つけやすくなります。
最後に、IPX表記だけに頼らず、製品ごとの防水仕様や使用条件をしっかり確認することで、大切なガジェットや家電製品を長く安全に使い続けることができます。
防水性能の知識を正しく持つことで、より快適で安心なデジタルライフを送りましょう。